オリーブな人々このブログでは、オリーブオイルと深い関わりを持つ方々のインタビューを定期的に掲載していきます。 |
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今日は、オリーブマーケットの石田健司社長にお話をお伺いしました。オリーブマーケットさんは日本では唯一テーブルオリーブを専門に扱うお店。銀座松屋地下の店舗を中心として、各地のイタリアンフェアやインターネット販売を通して全国にこだわりのテーブルオリーブを届けていらっしゃいます(オリーブマーケット:http://www.olive-ya.com/)。
日本の食卓ではまだまだ馴染みの薄いテーブルオリーブに携わるようになったキッカケ、そして、殆どと言って良いほど知られていないテーブルオリーブ世界について様々なお話をお聞きしました。
オリーブガイド(O.G)
―日本では、テーブルオリーブを専門で扱っていらっしゃる方は、おそらくオリーブマーケットさんだけと思いますが、石田さんは何時ごろどんなきっかけで携わることになったのでしょう?そこに至るストーリーを教えていただけますか?
石田氏
実は、僕は昔、結婚式場のウェイターをやりながら、最終的には宮内庁の侍従をやりたかったんですよ。そして、そのためにはまずは料理を知ろうとフランス料理の勉強しにフランスの田舎を一月くらいで回ったんです。そんな中、あるホームステイ先で食べた魚のフライが妙に美味しく、ホストに聞いてみると、ただウラの川から採ってきただけと言う。
このときに、「とにかく料理は素材」だということに気付いたわけです。まずは、オリーブを扱うベースがそこにあったと思います。
その後、たまたま勤めていた結婚式場がミラノにある大きな惣菜屋と提携していて、日本に出店しようという話になったとき、なんとなく僕に白羽の矢立っちゃった。
実際にやってみると、これがあまり商売にならなかったんですが、なぜか若い女性のお客さんがオリーブだけはよく食べる。従業員の若い女性も同じようによく食べる。その頃から、オリーブの実には何かあるなと考え始めたわけです。
で、最終的にはその惣菜屋の1コーナーを自分に任せてもらうことにして、数種のテーブルオリーブを専門に扱いはじめたんです。
O.G
―ということは、すでにその時に現在のオリーブマーケットの前身が惣菜屋の一コーナーとして存在していたのですね。
石田氏
まぁ、そういうことになりますね。この時からテーブルオリーブは時間は掛かるだろうけど本物として日本に根付くという確信みたいなものはありましたね。結局その惣菜屋は撤退して、その後は飲食店を経営していましたが、ご縁があって一度百貨店のイタリアンフェアにオリーブを並べてみたところ意外にも反響が大きく、各地のいろんな百貨店さんから引き合いが来るようになったのです。その流れが現状につながっているというわけです。
O.G
―面白いストーリーですね。今でも、他に同じ事をやっている人がいないから結局全部石田さん、よろしくってことになってしまいますね。
石田氏
そうなんですよ、ウチは完全独占企業ですね(笑)。というより、この仕事は現在のマーケットサイズに比べるとリスクが高すぎて、なかなか維持できないのです。かつて、外資系大手企業も一時期やっていましたが、今はうまく行かず撤退してしまいました。
O.G
―それは、どの辺に失敗の理由があったのでしょう。この国でテーブルオリーブを扱う難しさは何ですか?
石田氏
いろいろあるでしょうけどまずは、やっぱり、海外の物をそのまま持ってきて売ってもダメだということでしょうね。
O.G
―日本用に味のカストマイズをすることが必要ということなのですか?
石田氏
そうです。結局、日本人の自分で食べてみて美味しいと思えなければ売れないですからね。
まずは塩分濃度です。これはイタリアやスペインあたりのものをそのまま持って来ても日本人にはしょっぱ過ぎる。ですので、塩気を抜くかなければならないのですが、これについては、ただ水につけて薄めるというわけにも行かず、その技術を開発するのにかなり苦心しました。
O.G
―そうなんですか。私はむしろ、ヨーロッパから美味しいオリーブを見つけてきて販売しているだけなのかと思っていました。むしろ素材を持ってきて製造をされているということですね。
石田氏
ですので、ウチは言わば漬物屋です。さらに日本向けの調整の話しをすると、日本人の味覚というのは、やっぱりダシの感覚は強いと思うんですよね。つまり、いわゆる「旨み」の感覚が大切のような気がします。
O.G
―これは、随分と奥が深いですね。ところで、ではその素材になるオリーブを仕入れてくる地域としてはどの辺りですか?
石田氏
70%がスペインですね。後は、イタリア、ギリシャ、トルコ、フランスと言うところだと思います。
O.G
ーオリーブの品種や産地による違いと言うのは大きいものですか?
石田氏
実際、あまりないですね。結局、最終的にはいろいろ味の調整をしますから。
O.G
―オリーブマーケットさんは全国各地に商品をお届けされている訳ですが、日本国内でも地域による味の調整はされるのでしょうか?
石田氏
結構やりますね。地方へ行ったときなどは、あまり高級の店には行かず、裏通りにあるような定食屋行ってその土地の味覚をチェックしたりするんです。そんなところで交わすコミュニケーションがまた楽しいんですけどね。
O.G
―すごいこだわりですね。オリーブマーケットさんでお持ちのメニューとしてはどれくらいあるんですか?
石田氏
全部のレシピを合わせれば80種類くらいですかね。
OG
ー80!
石田氏
今、実際に使っているメニューでは30種類くらいかな。それをいろいろなケースに合わせて出しています。
O.G
―それでも、ずいぶんいっぱいありますね。今までお作りになったもので失敗作というのはあるんですか?
石田氏
もうそりゃ、もちろんありますよ。
一度、徹底的にスパイシーなものを作ってみたんですけど見事に一個も売れませんでしたね(笑)。
O.G
― 一個も…徹底していますね(笑)。
いろいろなご苦労の先にある今の日本の市場やお客さんに対して何か要望はありますか?
石田氏
先ほども言ったように、テーブルオリーブは時間が掛かってもしっかり日本にも根付くと思っています。
お客さんにはまず、種付きのオリーブの美味しさを知って欲しいです。確かに食べるのが少し面倒ですが、種を抜いたものとは香ばしさも比較になりません。
それと、テーブルオリーブはナマものなので日持ちしないものだという事を理解して頂きたいです。みなさん肉や魚のときはすぐ買ってすぐ食べられますよね。テーブルオリーブも同じなんです。買って2週間してから味が変わったと言われても困ってしまうわけです。
O.G
―なるほど。私自身も全くそんな認識がありませんでした。今日は本当にいろいろと勉強になりました。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
石田氏
こちらこそ。
石田社長から受ける印象は、クリエイティブなスタイルを貫き通す職人でした。効率性や合理性よりもご自身の感性と信念を頼りに道を歩み続けていらっしゃるご様子は本当に素敵でした。テーブルオリーブは、今後徐々に日本でも普及していく事になると思われますが、市場がどのような状況になっても石田さんは日本のテーブルオリーブのリーダーであり続けるでしょう。
今後、オリーブガイドも興味深いテーブルオリーブの世界をフォローし続けて行きたいと思います。